京都市内には紅葉の名所が多いが、静かに鑑賞しようとすれば、その一つは隣接する亀岡市の大本(宗教法人、京都府綾部市に本部)にある「大本神苑」が挙げられる。この神苑は、明智光秀の居城だった亀山城跡に造られたため広く緩やかな起伏に富み、寒暖差の大きな亀岡盆地の気候のため紅葉も鮮やかに色づいている。 大本は知られているように戦前、政府から二度の大弾圧を受けたが、屈することなく越えてきた。特に昭和10年から始まる二度目の弾圧は凄まじく、治安維持法や不敬罪などで起訴され、判決も出ないうちに政府は「月宮殿」と呼ぶ神殿などの教団施設をダイナマイトで破壊し、しかも破壊にかかった費用まで大本に請求した。近代的な法治国家の枠を大きく逸脱する人権蹂躙事件だった。これに対して大本は最終的に、全ての訴えに無罪を勝ち取った。 JR亀岡駅にほど近い神苑に入り、緩やかな坂を上って石垣跡を過ぎると、旧天守台跡に出る。ここには