2010年代のアイドルシーンを複数の記事で多角的に掘り下げていく本連載。今回は地方を拠点に活動するローカルアイドルに焦点を当てる。 “アイドル戦国時代”の幕開けに伴い全国各地で数多く誕生した地域密着型のアイドルは、自治体や公共団体を絡めた運営形態、独創性あふれる楽曲や個性的なコンセプトなど、メインストリームとは異なる種々雑多な文化を生み出してきたが、そこには地方で活動することのメリットとデメリット両方があった。前編と後編に分けて公開するこの記事では自ら地方の現場に足を運び、幾多のアイドル楽曲を収集してきた音楽ライター南波一海の話を軸に、アイドル本人や運営の証言を交えてローカルアイドル文化の実情に迫る。 取材・文 / 小野田衛 震災からの流れが「オラが街のアイドル」誕生につながったローカルアイドル――「ご当地アイドル」「地方アイドル」「ロコドル」などとも呼ばれる地域密着型のグループは、一説に