<香港デモの余波で台湾・民進党の予備選を逆転――親中派の国民党候補者が失速気味のなか生真面目な女性総統が一気に反転攻勢を目指す> このところ香港が国際社会の注目を集めている陰で、台湾の蔡英文(ツァイ・インウェン)総統が新たな勝利を手にした。来年1月に実施される台湾の総統選に向けて、与党・民主進歩党(民進党)は6月13日に公認候補を選ぶ予備選を実施。蔡が8.2ポイント差で勝ち、台湾独立を公言している頼清徳(ライ・チントー)前行政院長(首相)との一騎打ちを制した。 昨年11月の統一地方選挙で民進党は大敗を喫し、蔡は現職の総統としては屈辱的となる予備選敗退もささやかれていたが、意外なところから追い風が吹いた。親中国の香港政府に抗議する香港市民が、中国政府に脅威を感じている台湾市民を活気付けたのだ(頼も対中強硬派だが、蔡の現職としての経験や最近強硬姿勢を強めていたことが台湾市民の心を捉えた)。 と