3.長期投資で、リスクは縮小しない 「長期投資ではリスクが縮小する」とする説明は誤りである。長期投資に関する「贔屓(ひいき)の引き倒し」の類いの一つに見える。この誤りが長年なかなか払拭されない理由は、おそらく世界的な投資啓蒙の名著「ウォール街のランダム・ウォーカー」(バートン・マルキール著、井手正介訳、日本経済新聞出版社)が原著11版に至っても、不適切な説明をしているからだろう(翻訳書では434ページ以下の説明)。 「投資期間が長期化すると、リスクは拡大する」が正しい認識だ。そして、この場合、リスクは運用資産の価値の不確実性(例えば、上下のブレ幅)で捉えることが正しい。ただし、資産価値の期待値(予想される平均)は投資の長期化で増加して行く。投資が長期化するとリスクが拡大するとしても、期待される収益も拡大する。以下、簡単に図にしてみたので、これを眺めて納得していただけるとうれしい。 【長期投