司馬遼太郎作品の好き嫌いや、氏の歴史観はさておき、その小説の中には示唆的なフレーズがちりばめられています。 国家というのは基本的に地理によって制約される。地理的制約が国家の性格の基本の部分をつくり、さらには対外国の姿勢の基本部分をつくり、そしてそれらはきわめて厄介なことに、その時代々々の国家が持つ意思以前のことに属する。 端的な文章ですが、意味するところは深いですね。 地理が国家のすべてを決定するわけではありませんが、国家観や、戦略、戦術、そして国家の意思や世論といったものが形作られる際、地理という要素を無視してしまうと、どこかに歪みというか無理が生じてしまいます。 地理はテクノロジーの発達で克服できる場合もありますが、その制約から完璧に逃れることはできません。戦略家のコリン・グレイは、核戦略もサイバー戦も厳密には「地理を超えることはできない」としています。 昨今のホット・トピックスである