イスラエルとイスラム組織ハマスとの戦闘に出口はあるのだろうか。「ハマスの完全掃討は困難」と語るのは、パレスチナの選挙に立ち会った経験がある中東の専門家、防衛大名誉教授の立山良司さん(76)である。イスラエルとパレスチナの2国家共存を目指したオスロ合意から30年、立山さんが語るパレスチナの地の「遠い夜明け」とは――。 「平和は曲がり角の向こう側にあるのかもしれない。ただ、それをとりにいく勇気のある政治家がいるんだろうか。勇気を持った政治家が角を曲がって平和をとってこない限り、実現しないだろう」。立山さんは、かつて対話したイスラエルの作家で和平支持者のダビッド・グロスマン氏から聞いた話を忘れられないという。同じ気持ちだと立山さんも言う。「イスラエルもパレスチナも、反対があっても、もっと政治家が勇気を持って、和平に向かっていけばよかった」 だが、2人が切望したような政治家は現れないどころか、10