『バンド臨終図巻』において僕は、レッド・ツェッペリンやクイーンなど、60〜70年代にデビューした洋楽バンドを多く担当した。その際に考えていたことがある。 「大人のロック!」という雑誌があって、「1960〜80年代洋楽ロックファンに向けた、季刊の音楽誌」とうたわれている。同誌は基本的に、昔のロックはよかった、今もかつてのスターたちは昔のスピリットを失っていない――と過去を懐かしみ、美化するアングルで作られてきたといっていいだろう。 そこでとりあげられるバンドは、60年代、70年代、80年代にそれぞれ黄金期を迎えたが、現在から冷静にふり返れば、むしろその後の試行錯誤・迷走・踏ん張りに入ってからの期間の方が長くなったベテランばかり。しかし、誌面では、彼らの長い人生では短い時間にすぎなかった黄金期を大きく扱い、試行錯誤期間についてはさらりと流す構成になっていたことが多い印象だ。 これに対し、僕は、