石原慎太郎は1999年に都知事に就任した後、翌年から「三国人」発言をはじめとして次々と差別発言などの舌禍事件を引き起こしている。これをみてその都度私も驚き呆れたり、怒りをおぼえたりしたのだが、当時、この件に関して一番つよく実感して暗澹たる思いがしたのは、それを報じるマスコミの腰が最初から引けているようにみえたことだった。何に怯えているのか、石原慎太郎やその周辺の迫力・威光になのか、彼に対する世間の空気が以前とは異なることを察知してなのか、特にテレビでは各局のレポーターが終始自身の発言に慎重に、というより臆病になっている様子で、石原発言の問題点の明確な指摘、徹底した批判はほとんど聞かれなかったように思う。 それで彼の国会議員時代はどうだったかと振り返ってみたのだが、どう考えてみてもこれほどの腫れ物扱い状態ではなかったように思えた。そもそも石原慎太郎の国会議員としての存在感は年ごとに希薄になっ