「過去に聞いたことない」 第53次南極観測隊の支援のため昭和基地に向かい、厚い氷に阻まれ18年ぶりに同基地への接岸を断念した南極観測船「しらせ」(中藤琢雄艦長、1万2650トン)が、日本への帰還途中に定着氷の中で障害物にぶつかり、かじを損傷していたことが17日、分かった。しらせは同日、自力で氷海を脱しオーストラリア西部のフリーマントルに入港したが、氷によるかじの損傷は「過去に聞いたことがない事態」(防衛省関係者)。防衛省は一時、救援のため輸送艦など2隻を南極に急派し、氷が緩む今年の年末まで乗組員の一部を船内で越冬させることも検討した。(芹沢伸生) ◇ 防衛省によると、損傷したのは2枚あるかじのうち右側の1枚。接岸断念後、ヘリコプターなどで昭和基地への補給を終え、日本に向けて氷海航行を始めた2月13日午後、前後進を繰り返し厚い氷を割る「ラミング砕氷」で後進