現代彫刻のようなスピーカー。手前の2本が「アルファー」スピーカーを組み立てる伊勢谷努さん(右)。全工程が手作業だ=愛知県瀬戸市東松山町、黄写す マントをまとった一つ目小僧、それとも抽象的な現代彫刻――。実はこれスピーカー、しかも、やきもの。愛知県瀬戸市の小さな陶磁器会社が昨年秋、製品化にこぎ着けた。構造が複雑で一つひとつ手作り。職人の息吹を感じさせるその音は、どこまでも自然で優しい。 製造元の「聖新陶芸」は1960年の創業で、従業員は24人。これまでも、陶器でハーブを育てる「栽培セット」など、アイデアあふれる商品を作ってきた。 2008年1月に本社を同市内で移転した。社長の伊勢谷努さん(59)は、旧本社にできた空きスペースに、大量のオーディオ機器を持ち込んだ。40年来のオーディオ好き。自宅の倉庫で古いスピーカーなどを大量に保管していた。 仕事の合間に好きなジャズを鳴らしながら、思い