ミヒャエル・ハネケ『ファニーゲーム』の監督自らによるセルフ・リメイク。舞台をアメリカに移し、善意の人が胸クソが悪くなると唾を吐き捨てた楽しい暴力がふたたびネッチョリと丁寧に描かれる。 極度な暴力を提示することにより、逆説的に「暴力はいけませんよ」と人々を戒めている。といった手垢にまみれ腐った見解はこの際どうでもいいとして、カット割りや台詞をオリジナルに忠実に再現し、更にはテーマまで同じくしたリメイク作を我々に見せるハネケの意図は何なのか? という点から本作を語ってみたい。 そこにはまず、暴力の絶対性、不変性といったものが根幹にあったのだと思う。暴力暴力と評されている本作だが、実は暴力を直接見せるシーンはあまり無い。ちゃんと<ルレサロコガモドコ>シーンにも配慮があって、そこは音声とエフェクトだけで表現されている(アメリカだしね)。故に、なまじ殴る蹴るを直接見せられるよりもずっと余韻を引く