ブータンのジグメ・ケサル・ナムゲル・ワンチュク国王夫妻の来日以来、「幸せの国」と言われるブータンへの関心が高まっています。 確かに、1人あたりの国民総所得がわずか1920ドル(約14万8000円、世界銀行、2010年)で、日本(4万2130ドル)の20分の1以下にもかかわらず、2005年の国勢調査では国民の97%が「幸せ」と答えたと聞けば、うらやましくなるのもわかります。生活の質を経済的な豊かさで測る「国内総生産」(GDP)に対して、ブータンは心理的な幸福感を重視する「国民総幸福量」(GNH)を早くから提唱し、先進諸国にも大きな影響を与えました。経済協力開発機構(OECD)が「より良い暮らし指標」を発表しているほか、日本も2011年12月、経済社会状況、心身の健康、(人や社会との)関係性の3つを柱とする「幸福度指標」の試案をまとめています。 しかし、ブータンを礼賛するばかりでなく、実像もき