高畑勲監督の『かぐや姫の物語』を見てきた。傑作だと思う。途中から胸が締めつけられるように苦しくて、鑑賞後から今に至るまで映画が頭から離れない。見ていて非常に辛い、心底辛すぎる悲劇だ。そしてこの悲劇を成立させるにあたり、かなり変わったプロットを採用している。以下、その辺りについて書く。(ネタバレあり) いきなり話題は変わるが、いわゆる王道の、正統派のエンタテインメントとはなにか。それは「主人公が成長・変化する姿を描く過程」である。脚本の教科書なんかを読むと「子供が大人になる過程」などとも書かれている。 『かぐや姫の物語』と非常に対照的な映画が、オードリー・ヘップバーンの『ローマの休日』だ。ヘップバーン演じるアン少女は、王室に生まれた己の境遇に反発し、滞在先のローマで逃げ出して放蕩する。そしてあれやこれやを経験し、最終的には自らの立場を受け入れる。つまり、子供から大人へと変化する。 大人になる
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