これはまあ、ゆるく自慢が入ってますが、拙著『乱世の天皇』の見どころの一つは第八章「後花園天皇の時代の海域アジア」です。後花園天皇の本で海域アジアとの関係を述べた書物は初めてでしょう。というか、後花園天皇の評伝が初めてでした。 というネタはさておき、2020年に入って一斉に出てきた室町天皇本の中で拙著の特徴はこの第八章です。類書では海域アジアに関する記述は群を抜いていると思います。 これは結局どこに目配りをするか、という問題で、そこそこ限られた紙幅の中でどれを取り上げ、どれを省くか、というのは筆者の問題関心によります。 私はもともと対外関係史を修士論文で取り上げたことや、しばらく北海道史にも関心を寄せていたこともあって、やはり海域アジア視点の章を入れたかったわけです。 あくまでも後花園天皇を中心に室町時代の天皇を取り上げるわけですから、同時代の王権と比べないと意味がありません。 第八章では後