偉大なる探検家である彼の名前は、ロバート・ファルコン・スコット。イギリス海軍の軍人で、南極探検チームのリーダーを務めました。 ショーン・アッシャーさん編集の『注目すべき125通の手紙 その時代に生きた人々の記憶』から、彼が死を覚悟しながら最愛の妻キャスリーンと2歳の息子に宛てた、美しくも愛に溢れた手紙を紹介しましょう。 ぼくの未亡人へ 最愛のきみへ ぼくたちは非常に苦しい状況にあり、無事生還できるかどうかわからない。短い昼食時間にかろうじて暖を取りつつ、ありうる結末を迎える準備として手紙を書くことにした。最初の手紙はもちろんきみに書く。歩いていても、眠っていても、ほとんどきみのことばかりを考えている。ぼくの身に何かあったとき、これだけは知っておいてほしい。ぼくにとってきみがどれほど大切な存在かということを。きみとの楽しい思い出を胸にぼくは──。 また、これから書く事実も慰めとしてもらいたい