日本軍「慰安婦」問題に関する本の紹介 『図書新聞』2969号、2010年6月12日 文献紹介 日本の「韓国併合」100年を考える 第三回 日本軍「慰安婦」問題に不可欠な事実の実証と構造的な認識 林 博史 日本軍「慰安婦」関係で推薦する本の紹介です。この連載の第一回で、西野瑠美子さんがすでに推薦した本ははずしています。 2010.6.17記 日本軍「慰安婦」制度の全体像を描いた最初の成果の一つが、吉見義明・林博史編著『共同研究 日本軍慰安婦』(大月書店・本体2524円、1995年刊)だった。被害者の証言に加えて、93年に設立された日本の戦争責任資料センターによって日本軍公文書や元将兵らの戦記・回想録の調査がおこなわれ、それらの諸資料をふまえて、9人の共同作業で生まれたのが同書である。このなかで「慰安婦」制度の仕組みが明らかにされるとともに、本国日本、植民地の朝鮮・台湾、中国や東南アジアなどの