ヘイト「クライム」研究の空白が許してしまった日本政府のごまかし ~国連CERD委員質疑と政府答弁を読んで~ Tweet 1 はじめに 国連人種差別撤廃委員会による対日審査が20、21両日、スイス・ジュネーブで行われた。前田朗先生のブログで詳細な速報をしていただいている。 私が弁護団事務局を担当した朝鮮学校の事件について、各委員の質問・コメントと日本政府答弁を読んだ。すると、国連のバスケス委員やユエン委員の質問では、事案の前提が整理しきれていないがために、戸惑いながら質問している様子がみてとれた。この事案が「スピーチ」に留まる行為(下記の類型2)などではなく、現行法違反の犯罪(「クライム」。下記の類型1)に至っていた事案であるという、客観的な前提がぐらついたままの質問になっていたのである。そして、この隙間にうまくつけこまれ、日本政府答弁でも、朝鮮学校の事件が問いかけてきた問題に向き合う
在特会・京都地裁判決に関連する雑感 ヘイト暴力のピラミッドに照らした分析 Tweet ピラミッドのボトムアップ作用 右にヘイト暴力のピラミッド図(出典:Brian Levin, Anti-Defamation League)を示しました。 このピラミッドの図示は、アメリカの中学や高校などでよく用いられるものです。マイノリティに対する暴力行為というものが突発的に始まるようなものではなく、まずは、最下層の悪意なき先入観が社会に浸透していることが土壌となって、偏見に基づく具体的な行為が行われるようになり、さらにこうした行為の数が増えるなかで制度的な差別、そしてついには暴力行為が発生するようになり、当初は散発的なものが徐々に社会全体に蔓延するところまで発展していく、という概念です。 ジェノサイドなどと聞いても、今の日本社会では大げさに感じられるかもしれません。在特会の街宣などでの「保健所で処
法学館憲法研究所HP「今週の一言」バックナンバーより転載 在特会らに対する京都地裁判決の社会的意義 Tweet 1 京都地裁判決の概要 ~当然の帰結~ 京都地裁は10月7日、在特会らに対し、朝鮮学校周辺でヘイトスピーチ街宣を繰り返したことにつき、1200万円余りの賠償と街宣の禁止を命じました(判決全文)。 この判決については、在特会に高額の賠償を命じたことや人種差別撤廃条約を適用したことなどで注目を集め、大きく報道されましたが、学校が受けた深刻な被害実態(脚注)を知っている我々弁護団の認識からすれば、至極当然、当たり前の帰結と受け止めています。 弁護団でなくとも、少しでも法律の知識がある人が今回の街宣動画を見れば、即座に、表現の自由による無罪などがありえない「威力業務妨害」「名誉毀損」事案であることがわかったはずです。そして、これによって子どもたちが受ける心の傷や、教員や保護者のみ
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