またひさびさにプロレス本の傑作に出会えた。GKこと元「週刊ゴング」編集長、金沢克彦のノンフィクション本「子殺し」である。 いいかげんプロレス本もネタが尽きたかと思えば、原田久仁信による実録マンガ(「カ…カテエ」がちょっとした流行語に)が人気を獲得し、先日の深夜番組「アメトーーク」でプロレスが話題になる(テレ朝ならではの新日貴重映像が使えるのが強み)など、プロレス・ネバー・ダイといった感じだろうか。 最近のプロレス単行本のなかで、とびきりおもしろかったのは元週プロ記者の小島和宏による「ぼくの週プロ青春記」だった。90年代前半のプロレスバブルの時代(「藤原組」が東京ドームで興業をするような)。みちプロやFMWといったインディーズを盛り上げようと懸命になるものの、インディーズの王様大仁田厚と上司であるターザン山本編集長の、常軌を逸した個性の狭間で潰れそうになりながら、懸命にプロレスを愛し、過労死