日本人のノーベル賞受賞で巷はわきかえっている。生理学・医学賞の大村智博士(北里大学特別栄誉教授)と物理学賞の梶田隆章博士(東京大宇宙線研究所長)だ。もう報道もさんざん行われているので、今更屋上屋を重ねるつもりはない。 ただ、報道などをみても、今回の生理学・医学賞の意味について、あまり着目されていない点がある。 それは「顧みられない熱帯病」(neglected tropical disease)にもっと関心を持て、資金を投じろ、というノーベル賞委員会からのメッセージだ。 ノーベル賞のプレスリリースを読むと、そのことが書いてある。 まず基本事項だが、今回の受賞者は3人。受賞理由は大村智博士、大村博士の共同研究者のウイリアム・キャンベル博士が「回虫、寄生虫によって引き起こされる感染症の新しい治療法の発見に対して」、そして中国人のYouyou Tu氏が「マラリアの新しい治療法の発見に対して」。大村