映画『ダーティハリー』(71年)は面白い映画なのかどうか。クリント・イーストウッドは魅力的な存在なのか。 それらは個々人の主観だろうが、この映画全篇にはさまざまな仕掛けや観る甲斐のあるものが配され、あるいは自然と発生し、映画の歴史において興味深いポイントにある作品でもあり、イーストウッドも個性的な俳優であると思われる。盲目的な崇拝ではなく、それらの事柄について記し、考えてみたい。 『ダーティハリー』の監督はドン・シーゲル。主演はクリント・イーストウッド。脚本ハリー・ジュリアン・フィンク、リタ・M・フィンク、ディーン・リーズナー、ジョン・ミリアス。 本来はジョン・ウェインの主演作として企画されていたそうで、それはこの同年と2年後のジョン・ウェイン西部劇『100万ドルの血斗』(71年)、『ビッグケーヒル』(73年)の脚本家であるハリーとリタのフィンク夫妻が本作のシナリオを書いているところにも表