キオ・グリフィス(ヴィジュアル・サウンド・アーティスト、キュレーター、デザイナー) 2018年03月01日号 移民が流れ着く地方都市のような大都会、ロサンゼルス。映画都市でもあるこの街は、半世紀前に計画的に創造され、マシンカルチャーを中心に動く、砂漠から蜃気楼のように実現した未来都市である。その未来都市も、映像世界で予知された2010年代に到達するとレトロ化して見えるものだ。テクノロジーのスピードと未来への遠い憧れが交錯した状況のなか、大小様々なアートスペースが登場し、ロサンゼルスはようやく美術の首都として変貌しつつある。他方で、激しいジェントリフィケーションへの地元住民の反発がアートスペースに向けられる現象も起きている。 増え続けるオルタナティブスペース この不確実で不定形な有様も、西海岸の文化の特徴なのだろう。長い間、ニューヨークのアートシーンに反抗するスタンスを維持することでアウトサ