国土交通省は、北海道新幹線の延伸(新函館北斗―札幌間)に要する事業費が、当初想定の1・4倍に当たる約2兆3150億円に膨らむとの試算を公表した。 トンネル工事が難航しているほか、ウクライナ戦争などの影響で資材が高騰しているためだが、目標とする令和12年度末の開業に黄信号が灯(とも)っている。 建設財源は開業後にJRが支払う線路使用料のほか、国が3分の2、地方自治体が3分の1を負担することになっているが、4割もの事業費高騰は、新幹線延伸の経済効果を大幅に減じる。しかも開業時期が遅れれば、延伸による増収を期待していたJR北海道の経営を直撃するのは間違いない。 札幌までの新幹線延伸は、約半世紀前の高度成長期、田中角栄内閣が策定した整備新幹線計画に基づいている。経済情勢が激変し、航空路線が飛躍的に整備されたいま、抜本的見直しが必要なのは言うまでもない。とはいえ、工事中止は現実的でなく、巨額の投資を