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ブックマーク / univ-journal.jp (28)

  • 慶應義塾大学の大学院生が発見、世界でたった一組の三角形

    慶應義塾大学大学院理工学研究科KiPAS数論幾何グループの平川義之輔博士課程生(3年)と松村英樹博士課程生(2年)は、『辺の長さが全て整数となる直角三角形と二等辺三角形の組の中には、周の長さも面積も共に等しい組が(相似を除いて)たった1組しかない』という、これまで知られていなかった定理の証明に成功した。 今回の研究では、数論幾何学における「p進Abel積分論」と「有理点の降下法」と呼ばれる手法を応用。三辺の長さの整数比が377:352:135の直角三角形と、三辺の長さの整数比が366:366:132の二等辺三角形は、比をそのまま長さとすれば、周の長さが864(=377+352+135=366+366+132)、面積が23760(135×352÷2=132×360[二等辺三角形の高さ]÷2)であり同じ値になることが分かった。 今回解決した問題そのものは古代ギリシャ時代にも考察されていたと推測

    慶應義塾大学の大学院生が発見、世界でたった一組の三角形
  • 絶縁体の量子振動を観測、前例のない電子状態を発見 京都大学など

    京都大学、茨城大学らの研究グループは、来電子を流さない絶縁体であるイッテルビウム12ホウ化物において、強磁場中で電気抵抗と磁化率が磁場とともに振動する現象(量子振動)を初めて観測した。量子振動は通常、電気を流す金属でしか観測されない現象であり、このことはイッテルビウム12ホウ化物において金属とも絶縁体とも言えない前例のない電子状態が実現している可能性を示す。 フェルミ面の存在を示す最も直接的なものとして、強磁場中で電気抵抗や磁化が外部磁場変化に伴って周期運動する「量子振動」がある。量子振動が観測されることは、フェルミ面の存在を示し、すなわち金属状態が実現していることを意味するというのが、これまで知られていた物理学の常識だった。 ところが最近、近藤絶縁体と呼ばれる物質のひとつであるサマリウム6ホウ化物において、絶縁体であるにも関わらず磁化の量子運動が観測され、大きな注目を集めた。そこで

    絶縁体の量子振動を観測、前例のない電子状態を発見 京都大学など
  • 乱数検定の長年の懸案、離散フーリエ検定テストを完全修正 京都大学

    現在、携帯電話など世界中で用いられている標準暗号(AES)。このAESが2001年に選定された際、評価ツールとして乱数性評価テストNIST SP 800-22が使われた。ところが、その一つである「離散フーリエ検定テスト」(略してDFTテストと言う)が理論的に誤っていることが、2003年に公表された。 それ以降、世界中の多くの機関・研究者が正しいDFT検定を追求し、数々の修正提案を出してきた。しかし、それらの修正案は、ある“疑似乱数が良い乱数である”という仮定を基準として成立するもので、評価対象である乱数の乱数性を仮定する評価に依らずに、参照分布の正確性を数学的に独立に証明できる完全な修正提案はなかった。 このテストは全ての暗号評価・乱数の乱数性の評価に直接応用することができる。さらに、AESの後継となる次世代標準暗号選定では、より正確なランダム性が要求されるため、その際の重要な標準乱数評価

    乱数検定の長年の懸案、離散フーリエ検定テストを完全修正 京都大学
  • 「ドラゴンボール」重力室の効果を再現、高い重力下で運動能力が向上 中部大学

    「ドラゴンボール」重力室の効果を再現、高い重力下で運動能力が向上 中部大学 大学ジャーナルオンライン編集部 中部大学工学部ロボット理工学科の平田豊教授らは、人の運動学習能力が、重力を地上の重力加速度1Gを上回る過重力にすると高まることを実験で確認した。人気アニメ「ドラゴンボール」では戦闘のための運動能力を高める修行場所として20Gといった過重力を受ける“重力室”が登場する。今回、実際の実験で運動学習能力の一部が高まることを確認した。 さらに、過重力をかける代わりに明るい視覚環境下で訓練すると、より早く学習することも確認した。これまでの結果から、重力や視覚などの定常的な環境刺激の増加が、これらの信号を受取る小脳におけるシナプス可塑性(信号の伝達効率)を促進しているとみている。 今回の成果は、アスリートに限らず一般人が新たな運動能力を身に付けるための効率的練習環境を整える参考になる。過重力を作

    「ドラゴンボール」重力室の効果を再現、高い重力下で運動能力が向上 中部大学
  • 京都大学が有機太陽電池の究極構造を実現、電荷寿命1,000倍に

    京都大学の植村卓史准教授らの研究グループは、仏高等師範学校(ENS)の研究グループと協力し、周期性の細孔空間を構造内に有する多孔性物質を利用することで、これまで有機太陽電池の究極的な理想構造とされてきた、二種類の異なる分子が規則的かつ交互に配列した構造体を作り出すことに成功した。 研究グループは以前から、高分子を多孔性金属錯体(MOF)の細孔空間内に拘束することで、高分子鎖の配向方向や集積数を分子レベルで精密に制御できることを見いだしていた。 その知見を活かし、今回の研究ではドナー分子であるポリチオフェンを、アクセプター分子として知られる酸化チタンを含む MOF内で合成することで、ドナーとアクセプターが分子レベルで規則的かつ交互に配列した構造体を作り出すことに成功した。その結果、電流の担い手となる電荷の寿命は従来の約1000倍となり、非常に不安定な電荷を飛躍的に安定化させることに成功した。

    京都大学が有機太陽電池の究極構造を実現、電荷寿命1,000倍に
  • 奇妙な原子「パイ中間子原子」の大量生成で真空とクォーク凝縮の謎に迫る

    理化学研究所、奈良女子大学、鳥取大学などからなる国際共同研究グループは、「パイ中間子原子」という奇妙な原子を、従来の数十倍の時間効率で大量生成することに成功した。 ところが、実際はその100倍も重いという。これを2008年にノーベル物理学賞を受賞した南部陽一郎博士は、クォークに「クォーク凝縮」がまとわりついているためだと考えた。 クォーク凝縮とは、クォークと反クォークが対となり真空中に凝縮している状態のこと。宇宙創成直後の高温・高密度状態では存在しなかったものの、その後宇宙が広がり冷えていく過程で発生したとされる。 クォーク凝縮の存在を実証する鍵となるのが、原子核内部の精密測定だ。原子核の中は水の約100兆倍もの高密度で、宇宙創生直後と同様にクォーク凝縮の量が減少していることが期待される。そこで研究グループは、原子核に電子ではなくその300倍の質量を持つパイ中間子を束縛させた「パイ中間子

    奇妙な原子「パイ中間子原子」の大量生成で真空とクォーク凝縮の謎に迫る
  • 気管支喘息が起こる新たなメカニズムを発見 東北大学

    東北大学の石井直人教授らのグループは、理化学研究所の茂呂和世博士のグループと共同で、気管支喘息が起こる新たなメカニズムを発見した。 研究では、GITRと呼ばれるタンパク質が、2型自然リンパ球の活性化を介して気管支喘息を引き起こすことを解明した。2型自然リンパ球は、アレルギーが起きるときに最初に活性化する免疫細胞であり、2型自然リンパ球が活性化しなければアレルギーも起こらないことが知られている。そこで、GITRタンパク質を欠損したマウスで気管支喘息を薬剤によって誘発したところ、2型自然リンパ球が活性化せず、喘息も生じなかった。さらに、GITRを阻害する物質を開発しマウスに投与したところ、薬剤による気管支喘息が誘発されなかった。 近年、免疫反応を人為的に制御することでアレルギーやがんを治そうとする治療法が注目を集めており、特に免疫細胞の一つであるT細胞が治療法開発の標的とされてきた。一方、

    気管支喘息が起こる新たなメカニズムを発見 東北大学
  • 京都大学、砂漠の洪水を灌漑用水へと変えるシステムを世界で初めて適用

    京都大学大学院農学研究科の宇波耕一准教授とムタ大学農学部(ヨルダン)のOsama Mohawesh教授による国際研究チームは、ヨルダンの乾燥地域において、洪水を灌漑用水に変えるシステムを試験的に設置し、運用を開始した。 今回、同チームは砂漠の洪水を収集して貯水池に蓄え、その水を灌漑用水へと変換するシステムを提案し、さらにそのプロトタイプを実際にヨルダンの乾燥地域に構築した。日のため池などの小規模貯水池では、経験値にもとづいてルールカーブ(取水制限を行う管理目標水位)が設定されていることが多い。研究の貯水池では、ある種の偏微分方程式の概念を利用して、厳密な数学的根拠にもとづいて貯水池のルールカーブの管理を最適化した。この数理的概念の利用により、ポンプの運転/停止の切り替えのような動きについても最適運用戦略を取り扱うことが可能となった。 動的計画法にもとづいて貯水池の最適管理法を導く方法論

    京都大学、砂漠の洪水を灌漑用水へと変えるシステムを世界で初めて適用
  • 関西大学が発電量100倍の摩擦発電機を開発、1歩でLED10個以上を点灯

    関西大学が発電量100倍の摩擦発電機を開発、1歩でLED10個以上を点灯 大学ジャーナルオンライン編集部 関西大学システム理工学部の谷弘詞教授らのグループは、柔軟で軽量な摩擦発電機の開発に取り組み、従来の100倍以上の発電量を有する摩擦発電機の開発に成功した。1歩の発電量で、10個以上のLED点灯やワイヤレス回路の駆動が可能となる。 開発当初は、歩行時の発電量が0.003mW/ステップと微弱だったが、今回ゴム表面の粗さを工夫することで発電量を従来品より100倍以上向上させることに成功した。のインソールに組み込み発電量を評価したところ、1歩の着地で0.6mW(瞬間的には10mW)の発電が可能なことを確認した。この発電量で、10個以上のLEDの点灯やワイヤレス回路の駆動が可能であり、環境発電デバイスとしてさまざまな所への応用が期待できる。 この摩擦発電機は構造がシンプルでゴムがベースであるた

    関西大学が発電量100倍の摩擦発電機を開発、1歩でLED10個以上を点灯
  • カムチャッカ半島産の鉱物中に量子ビット 東京理科大学が発見

    東京理科大学の藤原理賀助教らの研究グループは、カムチャッカ半島のトルバチク火山で発見された鉱物を実験・理論の両側面からその内部磁気状態を調べた。この結果、同物質の低温磁気状態が、一次元的に強い量子もつれを持った「ホールデン状態」であることを発見した。 また、この状態を積極的に活用した量子コンピュータの開発が、基礎科学・工学応用の両側面から期待されている。一方で、ホールデン状態の再現には、整数スピンが必要であり、これを実現する元素は非常に限られているため、これまで積極的に応用への試みがなされていなかった。 K2Cu3O(SO4)3(鉱物名:Fedotovite)は、カムチャッカ半島のトルバチク火山で発見された鉱物。研究グループは、この物質を構造的特徴から「辺共有四面体量子スピンクラスタ鎖」と名付けて人工合成し、内部磁性に関して室温付近から4K以下まで実験的理論的に検討。その結果、各辺共有四面

    カムチャッカ半島産の鉱物中に量子ビット 東京理科大学が発見
  • 遷移金属ダイカルコゲナイドで電子状態の一般原理を発見

    理化学研究所、東京大学、東京工業大学、英国セント・アンドルーズ大学らの国際共同研究グループは、遷移金属ダイカルコゲナイド(TMD)において、物質表面にスピンの向きがそろったトポロジカルな量子状態や、物質内部全体にグラフェンと同様な質量ゼロのディラック電子状態が発現する際の一般的な原理を発見した。 トポロジー(位相幾何学)の質は、穴の数やねじれの数といった連続変形させても消えない特徴で分類すると、その分類に従った共通の性質が素材の寸法や形などによらずに現れるというもの。電子状態を決める波動関数にこれを当てはめることで、「トポロジカル絶縁体」などが理論的に提唱され、実験による検証が進んできた。しかし、戦略的にトポロジカル物質を創製するための一般化された方法論や明確な指針はこれまでなかった。 今回、国際共同研究グループは、量子力学の基原理に基づいてTMDの電子状態を計算し、そこから一般原理を

    遷移金属ダイカルコゲナイドで電子状態の一般原理を発見
  • 東京大学と京都大学、「絶対に発火しない」長寿命電池実現へ

    東京大学の山田淳夫教授らの研究グループは、京都大学、物質・材料研究機構(NIMS)との共同研究により、消火機能を備える高性能有機電解液を開発した。発火・爆発事故の主原因とされてきた有機電解液に消火機能を与えることで、格段に安全かつ高エネルギー密度の新型電池開発の加速が期待される。 今回、研究グループが開発した電解液は、難燃性の有機溶媒と電解質塩のみから構成され、引火点を持たない。また、火源に噴霧することで消化することができるだけでなく、200℃以上への温度上昇時に発生・拡散する蒸気も消火剤となることから、電池の発火リスクを広範囲にわたって積極的に低減する。一方、従来電解液成分として必須とされてきた可燃性の有機溶媒を一切使用していないにもかかわらず、リチウムイオン電池及びナトリウムイオン電池の長期にわたる極めて安定な繰り返し充放電(1000回以上、時間にして連続1年以上)を実現した。 今回の

    東京大学と京都大学、「絶対に発火しない」長寿命電池実現へ
  • 量子コンピュータのエラー訂正を高速化、速さのジレンマ解消 東京大学

    東京大学の研究グループは、従来不可能とされた、量子コンピュータの内部で発生する量子的なエラーの影響の追跡を正確かつ高速に評価する数値計算手法を新たに提案した。 実際の量子コンピュータは、わずかにエラーをもつ素子(量子ビット)を組み合わせて作られるので、それを訂正しながら計算を続ける仕組みの「量子誤り訂正」が必要。その設計には、素子のエラーをどの程度低減できれば誤り訂正がうまくいくのかを見積もることが重要だ。 しかし、量子コンピュータが高速のため、この見積もりの計算は通常のコンピュータでは追いつかず、「量子コンピュータの設計には量子コンピュータが必要」というジレンマが生じる。 研究グループは、量子コンピュータが量子的なエラーを訂正していく機構と、「フェルミ粒子」の運動を表す物理モデルとが同一と見なせることを示した。複雑な重ね合わせの状態を経由していくように見える機構が、粒子の運動とみなすこと

    量子コンピュータのエラー訂正を高速化、速さのジレンマ解消 東京大学
  • 燃料電池と太陽電池を融合する新触媒を開発 九州大学

    九州大学カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所および同学大学院工学研究院に所属する小江誠司主幹教授らを中心とする研究グループは、田中貴金属工業株式会社との共同研究により、燃料電池と太陽電池を融合する同一触媒の開発に成功した。 小江教授は、自然界から研究のヒントを得たと話す。すなわち、光がない時(夜間)は水素を電子源とする水素酵素のように、光がある時(昼間)は水を電子源とする光合成のように駆動する触媒・電池のアイディアを思いつき、触媒の開発に至った。将来的には、この開発をきっかけとし、夜間は水素を、昼間は水を燃料として車が走る時代が到来することを期待する、と話している。 論文情報:【ChemCatChem】A Fusion of Biomimetic Fuel and Solar Cells Based on Hydrogenase, Photosystem II, and Cytoc

    燃料電池と太陽電池を融合する新触媒を開発 九州大学
  • 質量ゼロのワイル粒子を制御できる「ワイル磁性体」を発見 東京大学

    東京大学の中辻知教授らを中心とする研究グループは、理化学研究所と共同で、世界で初めてワイル粒子を磁性体(マンガン三スズMn3Sn)の内部で実験的に発見。従来の強磁性体や反強磁性体とは異なった、新しい磁性体「ワイル磁性体」を世界で初めて見いだした。 「ワイル粒子」とは質量ゼロの粒子で、その候補とされたニュートリノは1998年、質量の存在が確認。しかし、2015年に固体の非磁性物質(ヒ素化タンタル)中に非磁性ワイル粒子が発見された。一方、最初に存在が予測されていた磁気ワイル粒子は外部磁場で制御可能なため、デバイス応用に必要不可欠とされ世界中で熾烈な探索競争が展開されていた。 今回の研究で発見したワイル粒子は、従来の非磁性体で発見されたワイル粒子とは発現機構が全く異なり、物質の磁性により創出される「磁気ワイル粒子」だ。この発見はMn3Snが外部磁場による制御で質量ゼロの磁気ワイル粒子を自在に操作

    質量ゼロのワイル粒子を制御できる「ワイル磁性体」を発見 東京大学
  • 量子計算機でも解読困難 北海道教育大学らが新方式の公開鍵暗号開発

    量子計算機でも解読が困難な新しい原理に基づく公開鍵暗号が、北海道教育大学、九州大学、産業技術総合研究所と株式会社東芝の共同研究により開発された。量子計算機でも計算が困難と期待される非線形不定方程式の最小解問題に基づいた構成で、この領域で有力とされてきた格子暗号と同等またはそれ以上の安全性と計算効率性が期待できるとしている。 現在、大手IT企業や政府の大規模な投資により量子計算機の開発が急ピッチで進んでいる。量子計算機が開発されると、現行の公開鍵暗号が安全性の根拠としている素因数分解や離散対数問題が短時間で解かれ、暗号が解読されてしまうことから、量子計算機でも解読が困難な対量子公開鍵暗号の研究開発が近年活発に行われてきた。しかし、対量子公開鍵暗号は公開鍵サイズが大きいという欠点があり、これまで実用化に至っていなかった。 今回開発されたのは、従来の対量子公開鍵暗号が安全性の根拠としてきた線型方

    量子計算機でも解読困難 北海道教育大学らが新方式の公開鍵暗号開発
  • 愛媛大学らが従来学説を覆す発見 マントル深部の超高圧下に安定な水酸化鉄

    愛媛大学の西真之助教らの研究グループ(他に東京工業大学、東京大学など)は、地球マントル深部の超高温高圧環境で安定な、鉄・水・酸素からなる新しい結晶構造の水酸化鉄の存在を世界で初めて明らかにした。研究成果は国際科学雑誌『Nature』(オンライン版)に発表された。 今回、研究グループはスーパーコンピュータ「京」などで量子力学に基づく理論計算を行い、80万気圧付近で水酸化鉄が分解するのではなく、パイライト(黄鉄鉱)型結晶構造に変化することを予測。大型放射光施設SPring-8において超高圧発生装置を用い、水酸化鉄に地球マントル深部に相当する高圧力をかけ、理論予測された結晶構造変化とその構造中の水素の存在を実証した。 この結果は、地球マントル深部で水酸化鉄が脱水分解するという従来の学説を覆す発見であり、地球深部における水の役割と循環の解明が期待される。今回実証した新しい構造の水酸化鉄は、マントル

    愛媛大学らが従来学説を覆す発見 マントル深部の超高圧下に安定な水酸化鉄
  • アルツハイマー病の原因遺伝子の絞り込みに成功 東北大学

    東北大学大学院生命科学研究科の牧野能士准教授らのグループは、アルツハイマー病患者に特有のゲノム領域に含まれる「オオノログ」という特殊な遺伝子に着目することで病気の原因となる遺伝子を多数推定した。 今回の研究では、遺伝子量の変化が発症の原因の一つと考えられているアルツハイマー病患者で報告されたCNV中の遺伝子群を対象に、遺伝子機能や遺伝子発現量を調査し、オオノログに注目した原因遺伝子推定の有効性を検証した。 解析の結果、オオノログは既知アルツハイマー病原因遺伝子群と同様、遺伝子破壊により神経系に異常をきたす遺伝子が多く、脳組織での平均発現量が他組織よりも高いことが分かった。 以上の結果は、遺伝子量の変化が関与する病気において、オオノログを用いた原因遺伝子の推定が有効であることを示している。統合失調症などアルツハイマー症以外にも遺伝子量変化が原因となる病気が報告されており、この手法の他の病気へ

    アルツハイマー病の原因遺伝子の絞り込みに成功 東北大学
  • 世界初、材料の超高速破壊を原子レベルで直接観察 ― 高耐力材の開発へ 大阪大学など

    大阪大学大大学院工学研究科の尾崎典雅准教授、理化学研究所の矢橋牧名グループディレクターらを中心とする日仏英露の国際研究グループは、理化学研究所放射光科学総合研究センターの施設SACLAを用いて、秒速5kmもの超高速衝突の際に、材料が破断的に破壊していく様子を原子レベルで観察することに世界で初めて成功した。 超高速で飛翔する物体が材料に衝突した際、衝突面とは反対側の面に、より甚大な損傷が見られるなど、特徴的な破壊現象が起こる。このような超高速応力に起因するダイナミックな材料破壊を直接見ることは、その極短時間性から、これまで極めて困難だった。 今回、研究グループが用いた方法は、物質へのパワーレーザーの集光照射により超高圧を生成する「パワーレーザーショック超高圧法」、および加速器でのX線発生装置であるX線自由電子レーザー(XFEL)施設SACLAによる「X線回折イメージング」。これらにより、超高

    世界初、材料の超高速破壊を原子レベルで直接観察 ― 高耐力材の開発へ 大阪大学など
  • 東京大学、細胞ファイバ技術でヒトiPS細胞を高効率培養

    東京大学生産技術研究所の竹内昌治教授と池田和弘大学院生らの研究グループは6月7日、細胞ファイバ技術を用いてヒトiPS細胞を効率よく増殖させる技術を開発したと発表した。 ヒトiPS細胞を用いる基礎研究は比較的少量の細胞数で行われており、シャーレの底面に細胞を接着させる形で増殖させる二次元培養法が、簡便かつ安定的な培養法として用いられてきた。その一方で、大量の細胞数を要する再生医療への応用段階では、細胞を培地中に浮遊させる形で培養する三次元培養法が、コスト面において有用とされている。しかし従来三次元培養法では、ヒトiPS細胞が不均一なサイズで凝集塊を形成し、特に大きな凝集塊の内部では酸素や栄養の不足から細胞死が起こりやすく、全体として増殖率が低下したり、ヒトiPS細胞の性質が失われたりしやすいという問題があった。 今回、研究グループは細胞ファイバ技術を用いて作製された、ヒトiPS細胞を封入した

    東京大学、細胞ファイバ技術でヒトiPS細胞を高効率培養