男子高校生は毎週のように薬局に通い、アルバイトで稼いだお金で化粧品を買いました。自分の肌の色を隠すためです。高校の入学試験の時には「キモイ」「将来、犯罪者になりそう」という声が耳に飛び込んできました。そこで、少しでも、自分の個性を隠したいと思ってきました。これまで自分を苦しめてきたさまざまな境遇に、くやしくて、悲しくて、死んでしまおう、そう考えたこともありました。大人になった彼が、いま、悩んでいる子どもたちに伝えたいことがあります。(NHK札幌放送局カメラマン 腹巻尚幸) 映像監督の成田淳さんは、愛知県で、フィリピン人の母親と日本人の父親との間に生まれました。もの静かで心優しい少年でした。 実の父は生まれてすぐに行方がわからなくなったため、成田さんには戸籍がありませんでした。育ての父や祖父は戸籍がなくても通える学校を探しまわり、学校が決まったあと、成田さんがランドセルを背負った姿を見て泣い