2020年9月3日、セイコーウオッチは、グランドセイコーのプロトタイプムーブメント「T0(ティー・ゼロ) コンスタントフォース・トゥールビヨン」を発表した。名称が示す通り、これはトゥールビヨンに、主ゼンマイのトルクを均一にするコンスタントフォースを搭載したものである。同様の試みはすでに存在するが、本作が他と違うのは、コンスタントフォースをトゥールビヨンのキャリッジと完全な同軸に置いた点にある。たかがそれだけというなかれ、これは世界で初めての試みなのだ。その詳細はグランドセイコーの特設サイトをご覧いただくとして、ここではコンスタントフォースの意義と、グランドセイコー「T0 コンスタントフォース・トゥールビヨン」開発にまつわるエピソードをご紹介する。 コンスタントフォースとは 時計に詳しい人ならご存じの通り、機械式時計を動かす動力源の主ゼンマイは、巻ききった状態と、ほどけきる直前ではトルクが大