vol. 6 大学院総合理工学研究科 知能システム科学専攻 准教授 高安美佐子(Misako Takayasu) 「見てください。きれいな模様でしょう!これもフラクタルなんです。」 板の上に歯磨き粉を出して、もう1枚の板で挟み、ゆっくりと剥がし始めると、そこにみごとな樹枝状の模様が姿を現した。「子どもがスポンジにクレンザーをつけてお風呂掃除をしていたときに、同じような形を偶然発見し、それを再現する簡単な実験を思いついたんです。」と笑顔を見せながら語る高安。日常の中にも目を光らせ、楽しく研究を進める彼女の生き方が伝わってきた。 フラクタル(fractal)とは、フランスの数学者ベノワ・マンデルブロが導入した幾何学の概念で、一部分を抜き出しても全体と似た形になる「自己相似性」を示すものをいう。例えば、リアス式海岸線は、地図で見ると複雑に入り組んだ形状をしているが、その一部を拡大してみても、同じ