NHKがずっと特集している「無縁社会」。それに象徴されるのは、日本で地縁・血縁が衰退している姿だという。 本当にそうなのだろうか。日本ではかつて、地縁・血縁が「助け合い」機能を持っていたのだろうか? ここでは高齢者の扶助を例に、その俗説への反論をしておきたい。 日本の高齢者扶助を巡る伝説として、「姨捨山」の説話はあまりにも有名である。地域によって様々なストーリーが存在しているが、その共通しているあらすじを、簡単に述べておこう。とある地域で、ある孝行者の若者が、老母と暮らしているところから話は始まる。そして、その地域の権力者が突然、高齢になった親は役に立たない存在であるとし、「姨捨山」に棄てるよう命を出すのである。若者は初めは抵抗するが、母親自らが若者を説得し、仕方なく、老母を背負って山に棄てに行く。しかし、帰り道の目印に木の枝を置いてきたという老母の気遣いに、若者は心を打たれ、老母を連れて