1 被爆者援護法の趣旨・目的と被爆者救済の必要性 (1) 被爆者援護法の趣旨・目的 原爆症認定は放射線起因性と要医療性が認められることが要件(被爆者援護法10条1項)とされているが、それが正しく運用されるためには、被爆者援護法の趣旨・目的に即してなされなければならないことは言うまでもない。 同法前文は、原爆が「一命を取りとめた被爆者にも、生涯いやすことのできない傷痕と後遺症を残し、不安の中での生活をもたらした」ことから「原子爆弾の放射能に起因する健康被害に苦しむ被爆者の健康の保持及び増進並びに福祉を図るために」各般の施策を講じてきた」が、「被爆後50年のときを迎えるに当たり」、「国の責任において、原爆投下の結果として生じた放射能に起因する健康被害が他の戦争被害とは異なる特殊の被害であることにかんがみ、高齢化の進行している被爆者に対する保健、医療及び福祉にわたる総合的な援護策を講ずる」と、そ