性的指向や性自認に苦しむ人たちのことを、私たちはどれだけ分かっているだろうか。社会の理解が進んでいないために差別や偏見にさらされる。好奇のまなざしを向けられ、誰にも相談できずに孤立する。周囲からいじめや嫌がらせを受けて思い詰め、自殺へと向かってしまう人もいる現実を。 そんな人たちに寄り添い、安心してもらえる場にしたい。2018年に大阪府守口市に生まれた性善寺(しょうぜんじ)。住職の柴谷宗叔(そうしゅく)さん(67)は「LGBTなど性的少数者が集える寺」を目指している。 「男性記者」から「尼僧」に きっかけは阪神大震災 自身も、幼少期から心と体の性が一致しない性同一性障害に苦しんだ。戸籍上は男性だったが、女性を自認。親にも隠して生きてきた。気持ちが大きく変わったのは、17日に発生から27年が経過した阪神大震災がきっかけだった。 当時は新聞記者の仕事をし、神戸市で1人暮らし。たまたま大阪の実家