日本を含めた世界各国と軋轢を起こす一党独裁の国、中国。 その背後には、何があるのか、それを中華思想や世界制覇の野心があると安易に論ずるのではなく、できるかぎり内在的にその論理を解明しようとする。こうした姿勢は大変に共感を覚えるし、はっとするような興味深い洞察を多くもたらしていると評価できる。興味深い中国論になっていると思われる。 冒頭の現代中国人の世界観や中華人民共和国以降の外交政策を論じた部分は、興味深く読んだ。そして、本書の白眉となるのが、いささか個別的ではあるが、広西チワン族自治区を取り上げる第5章と、国家海洋局をとり挙げた第6章になる。この事例は、中国は確かに一党独裁国家であるかもしれないが、それは決して一枚岩であることを意味するのではなく、いろいろなパワープレーヤーのぶつかり合いで一見矛盾するような政策が表れていることを明らかにしており、大変に興味深いものとなっている。 とは言え