要旨 先月、英国ではトラス新政権誕生に伴い、大規模な財政出動方針が打ち出されたことをきっかけに、金利上昇(国債価格下落)、通貨安、株安のトリプル安が同時に進行するいわゆる英国売りにより金融市場が混乱した。これによって、日本も大規模な財政出動を打ち出せば、トリプル安を招く懸念があると一部の識者の間で指摘されている。 欧米ではインフレ率が既に+8~+10%台に到達しているため、現在の欧米のように、需給ひっ迫によりインフレ率が目標の+2%を大きく超えてしまっている国は、財政出動が限界にきている。しかし、日本の場合はコストプッシュ型のインフレであるため持続性は低い。 IMFのGDPギャップで比較すると、米国では2021年時点、英国でも2022年時点で需要超過になっており、需要超過によりインフレ率が加速している一方、日本では2022年時点でも大幅な需要不足が続いている。特に日本の場合、90年代後半以