リベラリズムの終わり 2019.11.30 公開 ポスト リベラルへの風当たりが強くなっているのはなぜなのか?萱野稔人(哲学者・津田塾大学教授) 自由を尊重し、富の再分配を目指すリベラリズムが世界中で嫌われています。理想的な思想のはずなのに、なぜなのでしょうか? 11月28日に発売された『リベラリズムの終わり その限界と未来』(萱野稔人著)では、その原因、背景を哲学的に分析しました。「はじめに」を抜粋してお届けします。 リベラリズムが機能不全に直面している ここのところ「リベラル」といわれる人たちへの風当たりがひじょうに強くなっている。 リベラルとは、その名のとおり「個人の自由を尊重する立場」の人たちを指す言葉だ。個人の自由を尊重するがゆえに、それを阻むもの、たとえば権力の濫用や不平等などを厳しく批判する。そうした立場の人たちが──個々の人間だけでなく、政党やメディアなどの組織も含めて──