昨年6月、台湾北西部・桃園市で海軍陸戦隊を視察し、台湾製の対戦車ロケット砲「紅隼」を担ぐ蔡英文総統(台湾・総統府提供)産経新聞の取材に応じた台湾の李喜明元参謀総長が提唱した「総体防衛構想」は、長射程ミサイルや大半の戦闘機の放棄など徹底した改革を求めたため軍内で抵抗を受けた。李氏の退任後の2021年の「国防報告書」では構想自体は消えたものの、「非対称戦」の重要性は認識されており、李氏は「構想の名称は使われないが、実質的には採用されている」と強調した。 李氏は、昨年9月に出版した自著で、台湾海軍に海上交通路(シーレーン)を守る能力はもはやないという「残酷な事実」に向き合うべきだと主張。威力の小さな通常弾頭しかない台湾に、中国大陸を攻撃する高価な長射程ミサイルは必要ないとも断じた。軍の装備維持費の半分を占める戦闘機は弾道ミサイル攻撃で滑走路が破壊されて使用できなくなるとして、最新のF16以外の放