「短期的な利益を乗り越えた、継続的な深遠なパートナーだ」。オーストラリアのラッド首相(当時)は2008年4月、中国・北京で講演し、中国との絆をこう言い表した。外交官として北京に駐在した経験もある親中派は、中国と「真の友情」を育みたいとも述べ、会場から大きな拍手を浴びた。 豪州は00年代以降、親米路線を堅持しつつ、経済面で中国との関係緊密化を目指していた。ラッド氏が講演した08年は、豪州の対中融和政策が現出した「豪中蜜月」の頂点だったといえるかもしれない。 「15年前は経済的な側面と戦略的な側面を分けて考えることができた。もはや、そのようなことはありえない」。豪州のウォン外相が今年2月、08年と現在を比較して語ったことが印象に残った。中国が覇権的な海洋進出などを通じて現状変更の動きを続ける現在とは、完全に別の時代との指摘だ。往時の蜜月に戻ることはない、という中国への決別宣言とも取れる。