最近の中国報道で頻繁に取り上げられるテーマは「不景気」だ。中国政府は全国人民代表大会(全人代)で今年の成長率目標を昨年並みの五%前後と発表したが、「実際には昨年はゼロ成長に近い」(在米の経済学者)との指摘もある。 不景気の中、人々はどのような暮らしをしているのだろう。政府の言論統制で実態がつかみにくいが、SNSへの投稿が手掛かりとなる。最近、微信などで拡散した「北京で最も節約している人はどのような生活をしているのか」という五分ほどの動画もその一つだ。 この動画には李という三十八歳の男性が登場する。李は五年前にビジネスに失敗した後、北京市郊外にある馬駒橋という地区で暮らし、日雇い仕事で貯めた二万五千元(約五十二万円)で中古車を買ったという。雪の降った朝、李はポリタンクに溜めた水で顔を洗いながら「二、三年ずっと車の中で暮らしている」と語り、質問に次のように答えている。 ーー普段は何をしているの
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