沖縄県の宜野湾市長選で当選確実となり、万歳する佐喜真淳氏(中央)ら=8日午後9時47分、同市(大竹直樹撮影)米軍普天間飛行場を抱える沖縄県宜野湾市のかじ取り役を、同飛行場の名護市辺野古移設を容認する元市長、佐喜真淳氏(60)が再び担うことになる。6月の県議選では玉城デニー知事を支持する「オール沖縄」勢力が大敗し、保守系勢力が16年ぶりに過半数を奪還。移設に反対する法廷闘争も県の敗訴で決着がつき工事が進んでおり、移設阻止を最大の公約に掲げる玉城県政にも大きな影響を及ぼしそうだ。 選挙戦は佐喜真氏と「オール沖縄」勢力が擁立した元市議の新人、桃原功氏(65)の事実上の一騎打ちになった。普天間飛行場の早期返還という点では両氏の主張は一致しているが、返還に向けた手法は異なる。 佐喜真氏は、辺野古の埋め立て工事完成前に先行して普天間所属機を辺野古や県外の米軍施設に移駐させ、負担軽減を図ると主張。これに
公明党の山口那津男代表(右)と石井啓一幹事長=令和5年4月9日、東京都新宿区の党本部(大島悠亮撮影)8期15年にわたり「公明党の顔」を務めてきた山口那津男代表(72)が、退任の意向を正式に表明した。党内には早期の衆院解散・総選挙を念頭に安定感のある山口氏の続投を望む声も根強かった。だが、自民党と立憲民主党が党首選でそれぞれ刷新を図る中、ぬるま湯から抜け出す方向へとかじを切った。 「国内外ともに、政治の世界に世代交代の波が押し寄せているように感じる」。山口氏は10日の記者会見で、淡々とこう語った。岸田文雄首相の自民総裁選不出馬にも触れ、「刷新を図ろうという決断には突き動かされるものを感じた」と心境を吐露した。 支持母体の創価学会関係者は「公明だけトップが代わらないという選択肢はなかったのだろう。11月で結党60年を迎えるので心機一転、頑張るしかない」と前を向く。
先の大戦中に米軍に撃沈された学童疎開船「対馬丸」の悲劇を後世に伝える対馬丸記念館長の平良次子さん=那覇市(大竹直樹撮影)奄美大島の島影が星明かりに浮かんでいた。海の難所として古くから知られた七島(しちとう)灘。先の大戦中の昭和19年8月22日夜は、折からの台風が接近し、海は荒れていた。 前夜に那覇港を出港し、九州へと向かっていた学童疎開船「対馬丸」が鹿児島県・トカラ列島の悪石島沖で米海軍潜水艦ボーフィン号の魚雷攻撃を受けて沈没した。いかだや板切れにつかまっていた多くの人が波にさらわれ、暗い海の底へと沈んでいったと伝わる。 国民学校の学童や教員、一般疎開者ら1788人が乗船したとされ、死者数は1484人。6歳以下の子供を含めると、約千人の幼い命が奪われた。このうち学童の犠牲者が784人を占めるが、いずれも名前が判明した分のみ。船を護衛するため乗船していた旧陸軍船舶砲兵隊員も41人中21人が犠
経団連が入る経団連会館=東京・大手町国会議員と一般国民との意識の乖離(かいり)を感じることは少なくない。昨年のLGBT理解増進法騒動のときもそうだったが、議員たちはときに、国民の関心がさほど高くもない問題について、まるで最優先課題であるかのように熱心になる。今回の自民党総裁選での選択的夫婦別姓問題の急浮上も、その一つだろう。 「旧姓使用のままだと、多くの金融機関では銀行口座やクレジットカードを作ることはできない。そして、旧姓では不動産登記ができない」 小泉進次郎元環境相は6日の出馬表明記者会見でこう述べ、首相に就いたら夫婦別姓を認める法案を国会に提出すると明言した。そしてこの小泉氏の意気込みに押され、選択的夫婦別姓問題が総裁選の大きなテーマになった感があるが、国民の関心はどうか。
「重鎮として小林を支えていただけませんか」。8月末、自民党の70代の閣僚経験者は、元総務会長の福田達夫(安倍派)から電話を受けた。福田は当選4回の自民中堅で、党総裁選に立候補する同期の前経済安全保障担当相の小林鷹之(49)=二階派=の陣営を仕切る。 自民が政権に返り咲いた平成24年衆院選で初当選した大野敬太郎(無派閥)や福田らが中心になり、当選同期の小林の擁立を主導した。8月19日には先陣を切って小林の出馬表明の記者会見を開いた。 陣営はその後、ベテラン議員の取り込みに力を入れるようになった。背景にあるのがベテラン勢の反発だ。
犯罪被害者等施策推進会議で発言する岸田文雄首相=6月6日午前、首相官邸(矢島康弘撮影)犯罪被害者遺族に支払われる国の給付金の支給最低額が6月、法令改正によって増額された。これまで「少なすぎる」と批判されてきた給付金は今後、大半のケースで1千万円を超える。遺族らも「かなりの引き上げだ」などと評価しており、犯罪被害者を巡る長年の課題の一つがクリアできたといえる。 遺族給付金は、被害者の収入や年齢に応じた基礎額と、被害者が生計を維持していた遺族の数に応じた倍数を掛け合わせて算出する。このため、従来の仕組みでは、子供や主婦など無収入や低収入の被害者が死亡した場合、支給額が低すぎるとの批判があった。 たとえば20歳未満で収入のない子供を亡くした父母の場合、給付金は320万円に過ぎなかった。犯罪で子供を亡くして精神的なショックから十分に就労できない遺族も多く、葬儀費用や当面の生活費に充てれば手元にほと
自民党憲法改正実現本部の全体会合で発言する岸田文雄首相(中央)=2日、党本部(春名中撮影)自民党総裁選(12日告示、27日投開票)で憲法改正が主要テーマの一つになっている。自民は2日、自衛隊明記など改憲の指針となる論点整理を公表した。岸田文雄首相(党総裁)は論点整理を新総裁に引き継ぐ考えを強調し、次の総裁候補たちも改憲に向けた発信を強めている。改憲は来年結党70年を迎える自民の党是であるにもかかわらず、足踏みを続けてきた。総裁選を通じて機運を高め、実現への突破口を開くことができるのか。 「全身全霊で臨む」と小泉氏「憲法論議の推進に全身全霊で臨み、憲法改正発議の環境が整えば、ただちに発議の後、国民投票に移る」
立憲民主党代表選に立候補した(左から)野田佳彦元首相、枝野幸男前代表、泉健太代表、吉田晴美衆院議員=7日午後、東京都千代田区(鴨志田拓海撮影)共産党が立憲民主党代表選(23日投開票)に神経をとがらせている。次期衆院選を念頭に野党共闘の再構築を訴えてきたが、多くの候補が基本政策が異なる共産とは距離を置く構えを示しているためだ。共産は党内では田村智子委員長をめぐる「パワハラ問題」が尾を引いている。財政基盤を支える機関紙の購読者数や党員数の回復も待ったなしとなっており、指導部の悩みは尽きない。 安保法制の見直しを牽制「(安保法制の廃止が)揺らぐことはあり得ない。これをゼロにする、無しにするなんてことはあり得ない」。田村氏は5日の記者会見で、立民内で野党共闘の前提条件である「安全保障法制の廃止」を見直す動きがあるとして、危機感を口にした。
「ちょっといい?」。9月5日午後、東京・永田町の衆院議員会館に入居する自民党有力議員の事務所を、前日に党総裁選(9月12日告示、27日投開票)立候補を表明した幹事長の茂木敏充(68)=茂木派=が訪ねた。 「お茶でもどうぞ」と笑顔で出迎えられた茂木は、総裁選の情勢などについて10分間ほど話した後、退室した。 この間、事務所内の別室で自民参院議員の柘植芳文(78)=無派閥=が息を潜めていた。この有力議員と面会中に茂木が突然来訪し、姿を見られたくなかったのだ。 柘植は有力業界団体「全国郵便局長会」の組織内議員。総裁選候補にとって特に支援がほしい議員といえる。柘植は面倒な事態を避けたのだろうか。茂木が去った後、安堵(あんど)と困惑が入り交じった表情で、この有力議員との面会を再開した。 11に割れる最大派閥の支持先派閥の統制がきかない今回の総裁選は、自民の国会議員が各自、自由に支持先を決められる。
自民党総裁選の所見発表演説会に臨む(前列左から)小林鷹之前経済安保相、林芳正官房長官、小泉進次郎元環境相、高市早苗経済安保相、上川陽子外相、加藤勝信元官房長官、河野太郎デジタル相、石破茂元幹事長、茂木敏充幹事長=9月12日午後、党本部(春名中撮影) 自民党総裁選が告示され、過去最多の9人が立候補した。 多くの派閥が解散を決め、名乗りを上げやすい環境になったことなどが背景にある。投開票は27日で、岸田文雄首相の後継選びだ。 有権者である自民党の国会議員と党員・党友には、1億2千万人が暮らす日本の舵(かじ)取り役には誰が最もふさわしいかを考え、投票してもらいたい。目先の人気投票は禁物である。 世界は激動の時代を迎えている。日本は、反日的で核武装している専制国家の中国とロシア、北朝鮮に囲まれている。 転換期を担う自覚持てロシアが侵略するウクライナ、紛争の絶えない中東を除き日本は世界で最も厳しい安
双日総合研究所チーフエコノミストの吉崎達彦氏8月の月例経済報告が景気の基調判断を上方修正した。1年3カ月ぶりのことである。個人消費には持ち直しの動きが見られ、企業業績も好調であるとのこと。6月14日付の当欄で、「日本経済の過度な悲観論を排す」と書いた筆者もホッとするところである。 この間、日本経済には2つの朗報があった。ひとつは毎月勤労統計で、6月から実質賃金が27カ月ぶりにプラスに転換したこと。春闘の賃上げ効果が少し遅れて到来したことになる。ただし現在進行中の「働き方改革」の余波で時間外手当が減少している。「物価と賃金の好循環」が定着するには、いましばらくの時間を要しよう。 もうひとつは4~6月期GDP成長率が実質で3%台、名目では7%台の高さになったことだ。名目GDPは、史上初めて実額ベースで600兆円台を突破した。
今年4~6月期の国内総生産(GDP)で、名目値が年換算で初めて600兆円を超えた。安倍晋三元首相時代から目標としていた600兆円だが、最も貢献したのは何だろうか。 本コラムの読者であれば、「失われた20年」の大きな要因は、マネー不足と公共投資不足であると断じていることをご存じだろう。 マネー不足を政策に落とし込めば、金融緩和不足だといえる。一般的に金融緩和すると、インフレ率が高まり失業率が下がる。その過程で円安になり、GDP増も同時並行的に生じる。この部分だけをみると、筆者が本コラムでしばしば言及していた「自国通貨安は近隣窮乏化」である。 ちなみに、為替レート(ドル円)と名目GDPについて、ここ30年の関係を見ると、相関係数は0・76(1が最大)とかなり高い。要するに近隣窮乏化は、世界における歴史的事実をみても、日本の直近をみても観測できるのに、「円安悪者論」がいまだにはびこるのは筆者とし
立憲民主党の代表選で、枝野幸男前代表が立候補を正式に表明した。泉健太現代表、野田佳彦元首相、馬淵澄夫元国交相、江田憲司氏、吉田晴美氏らも出馬の構えを見せている。 自民党総裁選の日程は9月12日告示、27日投開票となったが、立憲民主党もそれに先立ち代表選を9月7日告示、23日投開票で行うが、いまひとつ盛り上がりに欠けているようだ。 NHKの調査による8月の政党の支持率は、自民党が29・9%、立憲民主党が5・2%となっており、多くの国民は、立憲民主党について、自民党の代替政党とは考えていないことが分かる。 自民党総裁選も立憲民主党代表選も、出馬の要件はともに20人の推薦人を確保することとなっている。ところが、自民党は党員資格のある国会議員が衆院253人、参院114人の計367人いるのに対して、立憲民主党は衆院98人、参院38人の計136人しかない。仮に、上記の6人が出馬すると、それだけで推薦人
自民党総裁選で、注目されるのは財務省との「距離」だ。各候補と財務省との距離を計る目安や言動を検討してみよう。 現在、立候補の意向を示しているのは、青山繁晴参院議員(72)、石破茂元幹事長(67)、加藤勝信元官房長官(68)、上川陽子外相(71)、小泉進次郎元環境相(43)、河野太郎デジタル相(61)、小林鷹之前経済安保相(49)、斎藤健経産相(65)、高市早苗経済安保相(63)、野田聖子元総務相(63)、林芳正官房長官(63)、茂木敏充幹事長(68)である。 これらから、推薦人20人を得て、9月12日の告示時点で残るのは6~8人程度だろう。それでも過去最多の立候補者数であり、派閥解消の効果であろう。 マスコミは今のところ、「新鮮味」という観点から報道するので、「若さ」を持つ人と「女性」が優勢になる。新鮮味によって自民党の刷新感を出すというものだ。ただし、内政の実行力がないと短命政権になりか
自民党総裁選に出馬表明した河野太郎デジタル相や小泉進次郎元環境相が、解雇規制の緩和について言及した。 これまで経済界は、「解雇規制を合理化・明確化する一環としての再就職支援金」を提案していた。これに対して、安倍晋三政権では「金銭によって解決をしていく、解雇を自由化していく考えはない」という国会答弁がされている。 ここでの「解雇規制」とは、裁判例によって確立されたとする整理解雇に関する4条件(①人員整理の必要性②解雇回避努力義務の履行③被解雇者選定の合理性④手続の妥当性)である。整理解雇はこの要件にすべて適合しないと無効(不当解雇)とされている。 産業界は「本音」として、従業員の〝首切り〟を容易にしたいのだろう。「日本の雇用制度が世界と比べて厳しく国際競争力で負けてしまう」という建前で、「規制緩和」と言う。しかし、労働者側は賛成していない。
自民党総裁選では、石破茂元幹事長が「金融所得課税の強化」を、河野太郎デジタル相は「財政規律」を強調している。茂木敏充幹事長は「増税ゼロ」と発言してはいるが、緊縮財政や金融引き締めを好む政治家が多いのはなぜだろうか。 昭和の時代は、高度経済成長をしていたので、政治家は「財政」をそれほど意識しなくても、「使う人」でいられた。当時の政治家で、財政規律を主張する人はあまりいなかった。 平成になってから、成長がガタンと落ちた。この要因は、金融引き締めと、緊縮財政による公共投資不足であるが、官僚たちはそこに触れずに「財政規律」を言い出した。その際、政治家に対して「財政規律を言わずに財政支出を言う人は無責任」というレッテルを貼った。 官僚はマスコミにもそうした説明をしたので、「財政規律を言わない政治家は無責任」というイメージが広がった。また、徹底して学者の取り込みを図ったので、平成になってからの成長鈍化
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く