日本大学教授の先崎彰容氏自民党総裁選に関する議論が喧(かまびす)しい。もちろんその座が首相ポストに直結しているからだが、立候補を噂されている中には、お盆期間中、訪台した者も含まれている。超党派の議員メンバーがいわゆる「台湾有事」に備え、頼清徳総統らと意見を交わした。日程は今月12日から3日間、つまり79年前の終戦を想起させる。 国民の命を預かる意味かつてわが国は太平洋上に多くの兵士を派遣し、夥(おびただ)しい戦死者をだしたが、その多くが戦闘による死者ではなく、餓死者であったことは忘れられている。この事実が持つ意味は、政策の失敗が、本来まったく不必要である死を生み出し、国民を塗炭の苦しみに突き落とすということである。だから「内閣総理大臣」の職責にあるということは、究極の政策決定、すなわち国民の命を預かり、また国家のために犠牲を強いる場合もあることを引き受けることを意味する。