「まるで中世の魔女狩り裁判だ!!」。 大阪地裁の大法廷に怒声が響く。腕を組みながらじっと言い渡しを聞いていた男は証言台から立ち上がり、鬼の形相で裁判長席をにらんで詰め寄った。 「私は無罪で、冤罪だ! こんな判決は粗悪な作文だ!!」 露わになった口元から大量に口角泡を飛ばしていた。男の名は奥野淳也被告(36)。新型コロナウイルス禍で必需品となったマスクの着用を拒否するトラブルを各地で起こした「元祖マスク拒否おじさん」である。 ◆◆◆ マスク拒否で飛行機が2時間15分の大遅延 事件が起きたのは2020年9月、新型コロナによる全国一斉の緊急事態宣言を経て、多くの人が新たなウイルスの脅威にさらされていた時期のことだった。釧路発関西行きのピーチ・アビエーション機内で、客室乗務員がマスクを着けていない奥野被告に着用を求めたところ、「お願いは承りますが答えはノー」と被告は拒否。近くにいた乗客が「気持ち悪