アジアの新興国、なかでも中国の家計債務の急拡大が世界経済のリスクになってきた。タイやマレーシアは自動車や住宅ブームで債務が膨らみ、返済負担が消費意欲を抑える。中国は可処分所得に対する家計債務の比率が日本のバブル期並みに上昇し、タイのように消費を抑制する動きが出始めた。7月末には米国が利下げする見通し。新興国にも利下げ余地が生じるため、短期的には経済にプラスだが、長期的には債務膨張の傷を深くする可能性がある。【関連記事】「債務膨張」というマグマ 危機の芽どこに「タイは、政府が2011年に打ち出した自動車などの購入支援策で家計の債務が膨らんだことが、構造的に消費を抑える要因となっている」。アユタヤ銀行のチーフエコノミスト、ソムプラウィン・マンプラサート氏はこう指摘する。タイの名目国内総生産(GDP)に対する家計債務比率は70%に迫り、日本(58%)とユーロ圏(58%)を上回る