かつて世界の7つの海を支配した英国海軍が、限界を超えた予算不足にあえいでいる。英国経済の不振によって防衛予算の削減が続き、ついに海軍旗艦の揚陸ヘリ空母「HMSオーシャン」をブラジルへ売却する動きが本格化しているというのだ。売却が実現した場合、空母が1隻もない状態での任務を強いられることに。斜陽の英国海軍は、歴史上最も困難な時を迎えつつある。(岡田敏彦) 英国海軍の旗艦が… 売却話が進むHMSオーシャンは、揚陸作戦を行えるヘリコプター搭載空母として1994年に起工、98年に就役した。2014年に6千500ポンド(約91億円)をかけてメンテナンスや設備の更新(大規模修理)を行い、最新の同種艦艇と比べても遜色のない性能を持っている。 ヘリコプターなら最大18機、垂直離着陸機(VTOL)では同15機の輸送が可能なうえ、上陸用舟艇4隻を運用できる性能がある。船体の規模は全長約203メートル、全幅約3