水俣病患者が「チッソを許す」と言った 髙山文彦 2013年10月に熊本を訪問された天皇皇后が、水俣病の胎児性患者とお会いになりました。そのきっかけをつくったのが、作家の石牟礼道子さんでした。 評論家の鶴見和子さんをしのぶ山百合忌で石牟礼さんは皇后とご縁があって、「人を好きだと思っても好きとも言えん人たちでございます。患者さんたちにぜひ会ってください」と手紙も出していらっしゃった。 ここ数年、私は石牟礼さんと頻繁にお会いする機会があるものですから、話をお聞きして、水俣闘争の歴史をふくめて記録を書き残さなければならない、と思いました。こんどの私の新刊『ふたり 皇后美智子と石牟礼道子』です。 山折哲雄 『三田文学』の最新号で、石牟礼道子特集を組んでいて、私も寄稿しています。昨年、石牟礼さんがお出しになったエッセイ集『花の億土へ』(藤原書店)のなかで胎児性患者たちから聞いた思いとして、これ以上争っ