『18歳の今を生きぬく 高卒1年目の選択』 なかなか興味深い調査である。 若い人がどのようにフリーターになるか、あるいは、正規の職につくか、あるいは進学の夢を持ち直すのか、を追跡した調査だ。 統計では質が捨象されてしまう、という方法と逆の方に行けば、「ルポ」というやり方があるだろう。 NHKドキュメンタリーの「フリーター漂流」や「ワーキングプア」などはこの方法をとった。事態の本質をあらわしていると思える「典型的」人物を探し、その人間に焦点をあてて、問題を浮かび上がらせるという手法である(むろんそのなかで「統計」は駆使されるが、統計と典型的人物は画然と分かれている)。 この調査がとった方法は、いわばその中間をいくものだった。 東京の公立高校を2つ選んで、高三生89人から聞き取りをおこない、その後の過程を2年間にわたって追跡し、インタビューをくり返したものなのだ。 〈私たちは、あえて中間層以下