前回は尖閣中国漁船問題に特化しましたが、今回は日本の安全保障の課題という、より大きな文脈を論じたいと思います。 今回は日本の安全保障の課題という本論に戻りたい。筆者は、台湾は言うに及ばず、朝鮮半島でも日本が本当に脅威に感ずるような有事が起こる可能性は今日低いと思っている (紙面の関係でこの点は詳述しない)。日本がいま本当に向き合う必要のある安全保障上の懸念は、台湾や北朝鮮ではなく中国の軍拡だ。不断に増強される中国海軍により地域のパワーバランスは日に日に悪化しつつある。 だからと言って中国が日本の南西島嶼部でにわかに軍事行動に出るとは思わないが、清朝末期の戦艦定遠、鎮遠に見られるように、中国の海軍は実際に戦さをすることより相手国を威圧することに存在意義があるようなところがある。そして、軍備の優勢を背景に、まずは武装 「漁業監視船」 が遊弋を始め、次第に相手国に手を出せない状態に持っていく…南