激しい応酬 「米中に溝」、「進展なし」――。 米アラスカ州アンカレッジで開かれていた米中外交トップ会談が3月19日、2日間の日程を終えた。直後に報じられたニュースの見出しには、冒頭のような言葉が並んだ。会談はバイデン米政権発足後では初めてとあって注目も集まったが、議論は平行線であった。 ただメディアにとって思わぬ収穫だったのは、会談の冒頭、予想外の非難の応酬が米中の間で繰り広げられたことだろう。 その細かい内容については後述するが、それにしても驚くべきは、温厚なイメージの強い楊潔篪中国共産党中央政治局委員(政治局委員)があれほど険しい表情をカメラの前で見せたことだ。楊政治局委員のこうした表情はきわめて珍しい。驚いた日本の視聴者も少なくなかったのではなかろうか。 そもそもトップ会談の前には日米豪印(クアッド)首脳によるリモート会談、日米、日韓の外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)と続いたので