ベトナムの「不動産危機」が深刻さを増している。不動産デベロッパーの資金繰り悪化により、これまでに1200件を超えるプロジェクトが中断に追い込まれた。業界団体のベトナム不動産協会によれば、危機の収束はまだまったく見通せない状況だという。 現地紙の報道によれば、工事がストップしたプロジェクトは首都ハノイで約400件に上り、最大都市のホーチミンでも300件を超える。ベトナム建設省が公表した最新データによれば、2023年1月から5月までの間に、ベトナム全土で8万8000社以上の企業が業務停止に追い込まれた。その大部分が不動産の開発や販売を手がけていた。 危機が拡大したきっかけは、2022年4月に摘発された金融不正事件だった。ベトナムの「不動産王」と呼ばれていた大手デベロッパーの「タンホアンミン・グループ」が社債を違法に発行し、投資家から多額の資金を集めていたのだ。 違法な社債発行が業界に蔓延 ベト