おいしい菓子づくりへのこだわりと顧客志向は、マスダックが2本目の柱となる事業に乗り出すきっかけにもなった。それが74年にスタートさせた菓子の製造受託事業だ。冒頭の東京ばな奈も、実はマスダックの工場で生産されている。 もともとは機械の特徴を分かりやすく説明するために菓子を製造して配布していた。それが評判を呼び、「こんなにおいしいなら、菓子そのものを製造して納入してほしい」と要望されたことをきっかけに、製造を受託するようになった。今やマスダックの売り上げの半分は製造受託事業によるものだ。 ただ、こうした国内の菓子メーカーと一蓮托生の事業モデルが危機をもたらしたこともあった。90年代後半、バブル崩壊に端を発した景気低迷で業績が悪化した菓子メーカーが、設備投資を控えるようになったのだ。99年3月期の売り上げは77億円ほどだったが、2001年3月期には50億円と激減。社内でリストラを断行しながらも、