最終回となる第5回では、中国の所得分配と格差問題を取り上げます。 急成長を続け、将来的にはアメリカのGDPを追い抜く可能性もあると言われる中国ですが、格差が広がり、社会的安定の維持が大きな課題となっています。 GDPの拡大によって低所得層の所得が底上げされ、皆が成長の果実を実感すれば、社会的緊張が緩和され、格差が社会不安につながる可能性は小さくなります。しかし、中国は生産年齢人口がすでに減少局面に入っており、日本と同じく人口オーナス期を迎えています。 人口動態の変化により、経済成長率の趨勢的な低下が不可避であるとすると、その中での格差拡大は社会的安定を失わせる重大なきっかけとなりかねません。今回の人口・労働問題研究所の張車偉所長と趙文副研究員のコラムは、中国の格差拡大の背景と政府が行うべき所得分配政策についての論考です。解説を挟みながら、ご紹介していきます。 張車偉氏(左) 1964年生ま