2年ほど前まで、国連世界食糧計画(WFP)の食糧運搬船は、よくソマリア海賊のターゲットになっていた。襲っても武力で逆襲されないと分かっているため、海賊にとっては格好の餌食だったのだろう。 元来、ソマリアを含む北・東アフリカには、「自分の手元にないものは、よそで取ってくる」という習慣があるようで、かつては弓矢などで襲撃していた。近年はそれが殺傷能力の高い銃に代わったために、殺戮が容易かつ多数になっただけとも言える。 彼ら自身には海賊という意識はなく、ただ「欲しいものを取りに行く」という行為に過ぎないかもしれないが、一方で人道支援を実行する機関としては、現地の人々のために食糧を届けに行って、物ばかりか命まで奪われるのではたまらない。 食糧運搬船を護衛するフランス船 現地職員が殺されるなど悲惨なことが相次いだため、WFPは去年からフランスに護衛を依頼。2008年12月以来、フランスはアトランタ・