高齢の働き手が過度な労働で脳や心臓を患ったとして労災補償を求めても、認められにくい傾向が続いている。60歳以上の労災認定率は近年、若年層より低い20%前後で推移。時間外労働などの重い負荷があったかどうか、年齢に関係なく同じ基準で審査していることが壁になっているとの指摘もある。高齢労働者が増える「人生100年時代」を迎え、働くシニア世代の安全網はこのままでいいのか、問われている。 (編集委員・河野賢治) 福岡市の女性(78)は2014年、清掃会社に入った。年金が月3万円ほどしかないことと、同居している独身の長男(52)の負担を減らすためだ。 ...