サンダース上院議員が民主党大統領選挙予備選から撤退した。撤退表明直後の演説は、トランプ打倒をわずかに強調していたものの、基本的には彼の人生で最後のチャレンジが終わったことへの落胆と、彼が考える米国のあるべき姿はこれからも追求していくという宣言の入り交じったものだった。 前回(4月7日公開「不満募らすサンダース陣営、新型コロナ利用するバイデン氏の勝算」)までに書いてきたように、サンダース氏は上院に「Independent」として登録し、民主社会主義(Democratic Socialism)を信奉する、米国では異色の政治家だ。だが、格差問題が強まる中で、彼の看板政策である「Medicare for All」は、彼を政治の表舞台に押し上げた。 米国では、オバマケアで保険加入者は増えたものの、いまだに10%が未加入者として残されている。また、保険の種類によって治療内容や診療費支払額の差は広がり、